




[ 科名・植性 ] キキョウ科ヒナギキョウ属の多年草
[ 花期・草丈 ] 7〜9月 20〜30cm
[分布・生育地] 関東地方および富山県以西の日当たりのよい道端など
■紅く燃え、はかなく咲く、あの世とこの世の境の花
別名「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」は、サンスクリット語で「天界に咲く花」を意味し、仏教の経典に由来する。おめでたい出来事の前触れとして、天から赤い花が降るとされる神秘的な花である。
開花期間はわずか1週間ほどで、秋の彼岸と時を同じくして咲くことから、あの世とこの世が最も通じやすい時期に現れる花とされる。また、墓地などに多く植えられるのは、土葬の遺体をモグラや野ネズミから守るためであり、「死人花」「地獄花」「幽霊花」などの異名を持つ。
彼岸花の生長サイクルも独特である。花は細長い茎の先に咲くが、葉は見当たらない。しかし、花が枯れた後に葉が生え、通常の植物とは逆のサイクルをたどる。こうした神秘的な特徴が、彼岸花に妖しげな魅力を与えている。