[学 名] 片栗、Erythronium japonicum Decne.
ユリ科カタクリ属
[花 期] 3~4月
[草 丈] 60cm~100cm
[生活型] 多年草
[生育場所] 山地の林の中
[分 布] 東北地方
ピンク色の花が下向きに咲く。花は陽のあたるときのみ開く。
くもった寒い日や雨の日は、開花しにくいが曇ってても温度が高めだと開花する。
なかなかデリケートな花です。
種子が地中に入ってから、平均8年目でようやく2枚の葉を出して開花。
樹冠が緑の葉に覆われる前の3、4月のわずかな日光を利用して花を咲かせ、花のあと、5月頃に葉も枯れたあとは
ずっと次の年の3月頃まで、球根のまま休眠する(地面からは消える)。(1年のうちの10ヶ月の間は地中で過ごす)。
このように、早春、他の花に先がけて花を咲かせ、逆にまわりの木々や草がすっかり緑になる季節になると地上から全く
姿を消してしまう植物のことを ヨーロッパでは「スプリング・エフェメラル ”春のはかない命”」や「エフェメラルプラント
”短命植物”」と呼んでいる(エフェメラとは「かげろう」のこと)。(節分草(せつぶんそう)も同じ)
昔は、球根から”片栗粉”(かたくりこ)を 採っていたが、今は8割がじゃがいも、2割がさつまいものでんぷんからつくられて いる。
「片栗」の本物の「片栗粉」は薬局で売っている。 片栗粉は消化がよく上質なので漢方薬として病後の滋養用に使われ、
江戸時代の本には「病人飲食が進みがたく至りて危篤の症になるとカタクリという葛粉のごとくなるものを湯にたてて飲まし む」と書かれた。
「片栗」の漢字は、食用にする根の鱗片が 栗の片割れに似ていることからあてられた。
古名は 「傾籠(かたかご)」。
籠を傾けたようにして咲くところから。
それがしだいに 「かたくり」となった。
また「かたかご」は「片葉鹿子(かたはかのこ)」の意味もある
育ってしばらくは片葉(一枚葉)で、 葉に鹿子模様の斑点があることから。
「港区 自然教育園より」